子ども向けプログラミングのレッスンを始めてからずっと気になっていたのが、海外ではどのようにプログラミングを教えているのか?ということ。
ネットの記事では、日本のプログラミング教育がやっと始まったばかりで、海外から遅れをとっている云々というのはよく聞くけれど、具体的にどういうカリキュラムで教育が行われているのか不明なままでした。
私も小学1年生の娘がいるので、海外だったらどんな授業が受けれるのかな?と興味深々でした^^
半年ぐらい調べているうちに、海外で使われているテキスト情報を見つけました。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/10/programming_syogaikoku_houkokusyo.pdf
こちらの報告書を読んで、イギリスの小学校で使われている教科書が購入できないか調べたところ、↓Oxford University Pressのサイトで購入できました^^
↓こちらがイギリスの1年生〜3年生向けのテキストです。
プログラミングではなく、コンピューティングという授業が義務教育として提供されています。
イギリスの1年生は日本の年長さんにあたるので、5歳で↓の内容の授業が実践されています。
テクノロジーの使われ方やデバイスのパーツの名称を学んでいますね^^
Scratchもいきなり登場しています。
日本では4、5年生でほんのちょっと(正三角形を描く問題など)出てくる程度ですが、こちらのテキストでは簡単なプログラムを組んでデバッグ(間違いを正すこと)ができるように網羅されています。
スプレッドシートの使い方も出てきます。各パーツの名称からデータの入力の仕方など5〜6歳で理解できる内容なんですね…
1年生〜3年生のテキストを見てみて、率直な感想はやっぱりイギリスのコンピューティングに対する教育熱がかなり高く、高度な内容を教えていると思います。
KeyStage1(つまり日本の年長、小1の生徒)に対する指導内容は以下の通りであり、かなり高度であるといえます。
< Key Stage 1>
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/10/programming_syogaikoku_houkokusyo.pdf
⃝アルゴリズムとは何かを理解すること。すなわち、アルゴリズムがデジタルデバイス上でプログラムとしてどのように実行されるか。アルゴリズムはプログラムが正確かつ明確な指示に従い実行するものであるということ。
⃝簡単なプログラム作成とデバッグをすること。
⃝論理的推論による、簡単なプログラムの挙動予測をすること。
⃝目的を持って情報技術を利用し、デジタルコンテンツを創り、整理し、保存し、操作し、呼び出し、検索すること。
⃝学校外での一般的な情報技術の利用についての認識をすること。
⃝情報技術を安全に節度を持って個人情報を守りながら利用すること。インターネットや他のオンラインテクノロジーにおけるコンテンツや接触に関して懸念がある際に、どこに助けや支援を求めればよいかを確認すること。
さらに小2〜小5の生徒では、
< Key Stage 2>
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/10/programming_syogaikoku_houkokusyo.pdf
⃝物理システムのコントロールやシミュレーションを含めた、特定の目的を達成するためのプログラムの設計や作成、デバッグをすること。また、それらのプログラムを小さなパーツに分解することで課題を解決すること。
⃝プログラムにシーケンス(順次)、選択、繰り返しを使用すること。また、変数や様々な形式の入出力を扱うこと。
⃝論理的推論により、どのようにしていくつかの簡単なアルゴリズムが動くかを説明し、またアルゴリズムやプログラムにおけるエラーを探し出し、訂正すること。
⃝インターネットを含むコンピュータネットワークを理解すること。また、インターネットがどのようにして、world wide web のような複雑なサービスや、コミュニケーション、コラボレーションの機会を提供できるのかを理解すること。
⃝検索技術を効果的に利用すること。検索結果がどのようにして選ばれ、ランク付けされているのかを的確に認識し、デジタルコンテンツを的確に評価する判断力を持つこと。
⃝様々なデジタルデバイスを用いて、インターネットサービスや様々な種類のソフトウェアを選択し、単独、あるいは組み合わせて使用することで、データや情報の収集・分析・評価・発表等、与えられた目的を達成するために様々なプログラムやシステム、コンテンツを創り上げること。
⃝情報技術を安全に節度と責任を持って利用すること。やってよいこと / やってはいけないことを認識すること。コンテンツや接触における懸念を報告する様々な手段を確認すること。
うーん。難しい内容…レベル高すぎですね。
日本では中学生でもこの内容全ては網羅されていないかも。高校生でも?
ちゃんとコンピューティングの教育を受けた子どもがあと10年もすれば、企業したりするのでしょう。
日本の子どもたちとはコンピューティングに関する教育の質が全く違うので、十数年後同じ土俵で仕事をしていくと考えるとかわいそうな気がしてきます。
プログラミングスクールでも、少しずつこちらのテキストの内容を取り入れて、プログラミングだけでなく、コンピューティングとしてテクノロジーを受け入れられるよう子どもたちに伝えていきたいなと思います。
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